審査員インタビュー

審査員に、審査を通じてのご感想、ご意見をインタビューしました
学生諸氏は是非今後の参考にしてください。

全体を通じて

  • 皆さんしっかり、上手にやっていた。丁寧で一生懸命であった。
  • ポスターは綺麗で見やすく、工夫されていた。
  • 使用言語が英語なのに皆よく作ってあり驚いた。
  • よく練習していることが伝わってきた。

印象に残った発表

  • いろいろな背景の人と議論できる機会を活用できている発表者も居る。そういう発表者は違う分野の人の話を貪欲に聞いてくる。
  • まず聞き手の専門について尋ねてから説明を始める発表者が居た。相手のレベルに合わせて説明をするという努力が見られた。
  • 「研究に誇りを持っている(この研究がしたくてこの研究室に来た)」という気持ちを持っている発表者が居た。
  • 動画(PCを持参)を使い面白い発表をしているものがあった。

研究・発表に対する姿勢

  • 基礎をよく理解して研究してほしい。発表はよく練習しているようだが、想定したストーリーからはずれる質問をされるとフリーズするのは残念。特に基礎的な部分を尋ねられて回答できないことは大変残念。
  • 研究のオリジナリティ、重要なポイントを尋ねたときに明確に回答できる発表者は、発表全体が理路整然で、良い発表になっている。その質問に対しフリーズしてしまう発表者は発表全体がぼやけた風になっているようである。
  • 研究の背景、動機について、指導教官に教えてもらってからそれ以上勉強していない感じの発表は残念。なぜこの研究をしているのか、と尋ねると、研究室で昔からやっているから、などと回答する発表者は、研究の背景を本当に理解していないということである。
  • 話して終わり、という感じの発表は残念。特にポスター発表では議論(キャッチボール)する姿勢、議論を役立てる姿勢が重要。議論の結果や助言を果たして持ち帰って活用してくれるのか疑問を感じさせる発表は残念。
  • 良い研究をしていても、周囲の他の人の研究や実用化の現状をしっかり把握して研究していないことが感じられる発表は残念。それらの背景をしっかり掴んで研究すると、研究そのものがもっと良くなるはず。
  • 研究の成果を社会に浸透させるために何がネックになるのかを真剣に考えてほしい。(尋ねられたとき回答できるように普段から考えて研究してほしい。)
  • 問題を解決する方法が研究で用いている方法だけでないとき(ほとんどの場合はそのはず)、他の方法とのメリット・デメリットの比較を真剣に考える習慣を持って研究してほしい。
  • 目的(目標、ゴール)を尋ねられた時に明確に説明できるように普段からトレーニングして欲しい。(例えば、ある現象のメカニズムが分からないからそれを解明するのであれば、果たしてどこまで解明すれば良いのかは、大きな目的に照らして決まるはず。性能向上であれば、どこまで向上するべきかについても同様。)この点をきちんと説明できる発表者は、発表の他の部分もよく説明できている。
  • 「材料を作りました」もしくは「なんらかの装置・システムの性能が上がりました」、で終わっている発表は残念。周囲の状況や元となる過去の状態との比較が疎かになっている発表がある。
  • 条件を変えて良い物ができたという説明はあっても、比較するべき元の状態を把握していない発表者が居る。
  • 化学工学から飛び出た研究が結構あった。それはいいのだが、化学工学の観点は?と尋ねると回答できないのは残念。同じ分野でも激しい競争があるはずで、化学工学のエッセンスを入れることで競争力がアップするのに、化学工学の考え方を活かすという意識がないのは残念。(化学工学の基礎に関する質問に回答できない人もいて残念。)
  • メモ帳に議論の記録を取りながら発表している人は極少ない。議論の結果を活用できるのだろうか。

発表の技術

  • 時間配分を考えた説明が難しそうに見えた。すべてを話したいために、短くてシャープな説明ができない発表者が多い。
  • まずアピールするところを説明して詳細は後回し、等のショートスピーチを上達してほしい。
  • 発表者が話したいポイントと、発表を聴く人が知りたいポイントがずれていることがよくある。(特に専門外の人に説明する場合に起こりやすい。)一方、まず「あなたの専門が何ですか」ときいてから説明を始める学生がいて、相手のことを考えた発表ができており、感動した。
  • 聞きなおさない学生がいる。分かりにくいと思ったらすぐに聞きなおさないと正常なコミュニケーションにならない。審査されているといっても発表者と聴講者は対等であると思ってほしい。
  • アピールするべき点をもっともっとアピールするべき、という発表がある。聴講者に「ここが大切でしょ」と言われて発表者が「そうですね」と答えるようなことがあった。本来、重要なポイントは発表者が先に強調して説明しているべきである。(そうでないと、「大切なところがわかっていないのではないか?」、と思われる。)特に専門外の人に説明するときにはアピールが重要。
  • わざとハイレベルなコメントをした。食いついてきて質問してくる発表者は良い。そのような質問に対して「わかりません」で終わる発表者は残念。
  • 手短に説明するように要求すると、あまりにもさらっとした人や逆に長い人もいて、時間を考えた説明が難しいように感じられた。喋るすぎの学生さんに対しては、議論を始めるタイミングを掴むのが難しい。
  • ポスターは一見綺麗だけど、よく見ると様式が整っていないものもある。(結論がない、引用文献がない、等)
  • 主体性が評価の対象になっている場合が多い。(やらされている感じは低アピール。主体性が大切。)議論をすると主体的なのかどうかが見える。「これからどうなるのか」という質問をして、よく回答できないと主体性があるように見えない。

産業界の審査員から

  • 学生時代は1つのテーマを追求できる。これは大変貴重な経験なので大切にしてほしい。(企業においてはなかなか出来ないこと。)
  • 企業の目線からすると、将来どういうところに役に立つのかを分かりやすくしてくれると、コメントしやすい。

©2016 
The Society of Chemical Engineers, Japan

Last modified:2016/3/23