市川創作(筑波大)・川村公人(アサヒグループホールディングス) |
食品はヒトが生きる糧であり,健康維持・増進につながる生物資源の加工技術は必須である.現在,高齢化社会の進行や生活習慣病により生じる問題を解決するため,健康リスク低減につながる機能性食品の開発が進められている.一方,世界的な気候変動やエネルギーの問題から安全な食料を安定に生産・供給することも求められている.食品を取り巻くこれらの課題を解決するためには,食品産業技術が学際的な連携により進歩することが求められる.具体的には,食品加工に必要な熱・物質の移動や反応の制御技術,生化学に立脚した食品素材の利活用技術,物理的・化学的アプローチにより新たな機能を発現する技術,ナノテクノロジーを活用した加工技術,物理化学に基づく分析評価技術などのような異なる学術領域の連携をはかることで,革新的な技術の創出が期待される.本シンポジウムでは,各分野における最新の研究成果を受け,学際を越えて活発に議論することで,食品産業技術を新たなフェーズへと移行させるために化学工学が果たすべき役割を再認識したい.