小林 功(農研機構食品研究部門)・中馬 誠(三栄源エフ・エフ・アイ(株)) |
21世紀に入り、食品産業を取り巻く環境や状況は新たなフェーズに入っている。高齢化や生活習慣病が先進国を中心に問題化しており、ライフステージ毎の健康の維持・増進に寄与する機能性食品に対する関心は年々高まり続けている。食品産業では、個々の機能性成分に関する効果に焦点を当てていた時代から食品全体の機能性を重要視する時代へと移行しつつある。また、摂食・嚥下、消化のプロセスを総合的に考慮した新たな機能性食品の設計開発、評価を行う流れも進行しつつある。これらの現状に対して、化学工学を利活用した食品工学的アプローチが大きな役割を果たせるものと期待される。本シンポジウムでは、機能性食品や高品質食品の製造・加工、保存、流通、摂食・嚥下、消化等に関する最新の研究成果について学際的に討議するとともに、未来の食品産業に対して化学工学が担うべき役割に関する議論を深化させる機会としたい。